天理医学紀要
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平成31年度・令和元年度受賞
心筋梗塞発症後急性期に心嚢水貯留を認めた急性心膜炎の1例
北井 順也黒田 真衣子田巻 庸道濵﨑 眞希濱口 侑大美馬 響小島 秀規山﨑 誠太田村 章憲岡本 寛樹大林 祐樹張田 健志西内 英坂本 二郎榎本 操一郎三宅 誠近藤 博和田村 俊寛
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2020 年 23 巻 1 号 p. 42-43

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抄録

85 歳男性.前日からの胸部不快感を自覚し救急搬送された.下壁誘導とV1–V6 誘導のST上昇と心筋逸脱酵素上昇を認め急性冠症候群が疑われた.緊急冠動脈造影では左回旋枝に100% 閉塞を認め,血栓吸引と薬剤溶出性ステント留置により再灌流に成功した.しかし術後もST は上昇し続け,心膜摩擦音を聴取したことから急性心膜炎を疑い第4 病日より高用量アスピリンを開始した.第5 病日に約6 時間の経過でショック状態に至り,心嚢水著増を認めた.心膜炎増悪と心破裂の可能性を考えたが高齢であり保存的加療の方針となった.第7 病日にアスピリンを増量し,第13 病日には心嚢水消失とST改善を認めた.本症例は心筋梗塞発症後に急激な心嚢水の増加を認め複数の病態が考えられた症例であり,若干の文献的考察を踏まえて報告する.

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© 2020 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
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