日本転倒予防学会誌
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総説
認知症高齢者の転倒予防におけるエビデンスに基づくケア介入
鈴木 みずえ金森 雅夫
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2015 年 1 巻 3 号 p. 3-9

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抄録

 認知症高齢者の転倒は,認知症の進行に伴って脳神経障害に関連した歩行障害・バランス障害から引き起こされるだけではなく,認知症による失行,失認などの中核症状,認知症の行動・心理症状など多様な要因が複雑に絡まっている。最新の認知症高齢者の転倒予防のシステマティックレビューやランダム化比較試験(RCT)の検討をした結果,介入方法の基準や標準化が明確ではなく,結果の再現性が乏しいということが考えられた。それらを踏まえてケアスタッフの多職種連携や転倒予防に関する教育プログラムを明確化したRCTも報告され,ケアスタッフが最大限に機能を果たしてエビデンスに基づいた効果的なアセスメントや介入が展開できれば転倒予防につながる可能性が高い。以上から認知症高齢者を対象とする転倒予防の効果的な介入のポイントとして多職種連携や転倒予防教育を重視した介入プログラムの必要性が示唆された。

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© 2015 日本転倒予防学会
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