鉄と鋼
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粉末液相被覆法を用いたAl拡散浸透およびプラズマ窒化処理による炭素鋼および合金工具鋼の表面改質
村上 浩二西田 典秀長村 光造友田 陽鈴木 徹也
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2005 年 91 巻 1 号 p. 212-216

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抄録
炭素鋼S45Cと合金工具鋼SKD61に対して,粉末液層被覆によるAl拡散浸透ならびにプラズマ窒化処理を行うことで,以下の結果を得た。
(1)Al拡散浸透処理の初期段階において,S45C表面にはFe2Al5c軸を基板面法線に揃えて生成した被覆層が形成される。その後,被覆層から拡散層にAlが供給され,被覆層はAl濃度の低下に伴ってFeAl2,α-Feへと変態するとともに,α-Feの拡散層がγ-Feの基板内部に向かって成長する。この時,α-Feの固溶限を超えたCはγ-Fe側へ押し出されるとともに,拡散層終端部のAl濃度は系に存在するCの影響によって,高純度Fe基板の場合よりも高い値を示す。
(2)SKD61においても同様にα-Feの拡散層が柱状生成するが,Al拡散浸透処理温度(1303K)においても安定なV炭化物およびVとCrの複炭化物がα-Fe中に残留した組織が得られる。
(3)SKD61に対するAl拡散浸透処理後のプラズマ窒化処理により,Al拡散浸透部が窒化されることでHV1200~1600の硬さが得られ,直下の窒化層ではHV1200から単調に硬さが減少し,基板硬さ(HV570)に至る硬さ推移曲線が得られる。改質層の表面XRDにおいて,窒化前の状態から大きくひずんだα-Feならびにε-Fe3N,γ'-Fe4Nが同定されるが,Alの存在状態を特定することは困難で,ウルツ鉱構造としても岩塩構造としても有意な量のAINは確認されない。
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© 一般社団法人 日本鉄鋼協会

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