日本看護研究学会雑誌
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地域で暮らす精神障がい者の服薬の必要性の認識と服薬における課題
山下 真裕子伊関 敏男藪田 歩
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2017 年 40 巻 2 号 p. 2_163-2_170

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抄録

本研究は,地域で暮らす精神障がい者の服薬の現状と困難感およびその要因について検討するため,地域で暮らす149名の精神障がい者に調査を行った。対象者らの9割が服薬の必要性を認識しており,関連することは,服薬による「ポジティブな体験」,服薬を中断したことによる「ネガティブな体験」,「個々の目標」があること,周囲の指示による「コンプライアンス」であった。一方,6割が何らかの服薬への困難を体験し,飲み忘れが最も多かった。対象者は1日に4回の処方,昼食後薬が処方されている場合に負担感を抱く傾向が認められた。今後は服薬に関する個々の体験を意味づけするプロセスを支援すること,人生の目標の明確化を支援することで服薬の意思を支えること,加えて対象者の生活パターンや服薬への認識を考慮し,服薬回数やタイミングを十分なSDMのうえで決定されることが,主体的なセルフケアの向上,精神障がい者の地域定着の促進につながると考える。

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© 2017 一般社団法人 日本看護研究学会
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