2017 年 10 巻 p. 11-16
本研究では、バブル期前半の子育て支援について明らかにすることを目的とした。その手がかりとして1986年~1988年にかけての保育雑誌『保育の友』に焦点を当て検討を行った。『保育の友』は主に保育所保育に特化した雑誌で、バブル期の社会情勢とそれに伴う保育問題が示されている。その主な傾向として、国の保育に対する冷遇、女性の社会進出と子育て、社会状況の変化に求められる保育、子育てのネットワークなどが論じられた。このいずれのテーマも、現代における保育問題と合致し、現在進行形の課題であることが明らかにされた。加えて、これまでの我が国の保育行政の失策、課題も明らかにされた。これらの知見をふまえ、保育や子育ては私的なものではなく、公的なものとして子育ての社会化という課題への提言として示唆を得ることができた。