2017 年 10 巻 p. 221-228
明治中期の高等小学校理科における動物利用の可能性を、開智学校で採定されていた教師用教科書『小學新理科敎員用』(卷一から卷四)(文學社)を事例にして具体的に明らかにした。例えば生理・衛生に関する内容では主に解剖に使用される可能性があるのはネズミやカエルであり、またネコやイヌに関しても解剖に使用された可能性があることがわかった。
さらに開智学校の教案の内容と比較し動物利用の視点から分析対象とした教師用教科書と教案の内容の共通点・相違点を明らかにした。利用する動物の種類に違いは見られたが、両者は要旨、教授の流れ、応用に示される内容や表現を見ると類似しており、開智学校において教案を作成する際に教師用教科書が参考にされていた可能性があることがわかった。