2017 年 11 巻 p. 87-95
日本教育紙芝居協会は紙芝居を通した文化貢献を目的として1938年(昭和13)年に設立された組織である。紙芝居の制作、普及・啓蒙活動、研究調査を3つの柱として事業を展開し、俗悪、非教育的と批判された街頭紙芝居の印象を払拭してきた。1940(昭和15)年、その日本教育紙芝居協会から「保育紙芝居」が発行されている。協会では、それまでも倉橋惣三を顧問とする幼児紙芝居研究会を中心に幼児紙芝居の研究・制作にとりくんでおり、すでに30を超える幼児紙芝居が活用されていた。「保育紙芝居」はどのような意図をもって刊行されたのだろうか。保育や「保育紙芝居」をめぐる言説から「保、育紙芝居」がめざしたものや、保育のなかでどのように使われることを求めていたのかについて明らかにしていく。