2017 年 12 巻 p. 87-91
本研究は、4歳児および5歳児を対象として、開眼時および閉眼時における重心動揺をパワースペクトル解析し、視覚情報が反映すると報告されている0.02Hz ~2.0Hzの周波数帯域におけるパワー変動から幼児期における視覚性姿勢制御機構の特徴について検討することを目的とした。その結果、総軌跡長および外周面積の平均値は、年齢・生まれ月間に有意な差は認められなかったが、両条件ともに減少傾向が示された。また、左右方向のパワースペクトルは、年齢・生まれ月にともなう変化はほとんどなかったが、周波数帯域0.2Hz ~2.0Hzにおいて、前後方向におけるパワーの僅かな増大あるいは減少が示された。このことから、4歳および5歳の幼児期は、視覚系による姿勢制御機構の発達過程にある可能性が示唆された。