本稿は、2017年9月7日・8日に台北日本人学校中学部の7学級で実施したNIE授業の内容とその成果を報告するものである。本実践の目的は、海外日本人学校の生徒に、異文化環境の中にいることを実感させる授業をNIEによって実現する可能性を探ることにあった。授業は、社会科で、テーマは「成人年齢を考える-成人年齢は18歳か20歳か-」とした。生徒に、日本と台湾の成人年齢について考えさせ、それを台湾という地と結びつけて把握できるようにすることを意図した。本NIE授業は、対等の立場にある二人の教師がティーム・ティーチング(TT)で行うスタイルをとり、石田と神部が授業を担当し、所澤がスーパーバイザーとなった。石田が成人年齢20歳支持、神部が18歳支持の立場でそれぞれの利害得失についてディベートを展開し、生徒に考えを促し、最後にゲストティーチャーとして現地の大学教員を迎え、台湾の成人事情について説明を行った。授業後のアンケート調査では、生徒の多文化共生意識の向上、社会参加意識の向上をみることができた。