2019 年 13 巻 p. 165-176
本稿は、保育の質の中核を成すのを保育者としてとらえ、その保育者の資質と保育のこころについて、明治時代初期の社会事業家として著名な瓜生岩子の生涯発達を資料として考察を試みた。瓜生岩子の生涯発達を四季になぞらえて整理すると、春「心の基盤・核を作る時」、夏「利他共生の自覚:精神的自立の時」、秋「自分への道を求め進んだ時」、冬「次世代への継承の時」であった。瓜生岩子の生涯発達から考えられる保育のこころとは、「アタッチメントに基づく保育」「利他共生に基づく保育」をあげ、その根底にある保育のこころとして「人間保育」があると論じた。