本研究では、外国人家庭の子育ての困難さと子育て支援の動向について概観し、今後のよりよい子育て支援について検討した。はじめに、外国人家庭の子育ての実態を述べた後、子育ての困難さを規定するものとして、自然災害などの環境要因、親の精神的不健康やDV被害などの親要因、子どもの気質や障害などの子ども要因に分類し、子育ての実態について述べた。外国人家庭の子育ての困難さは、地域や国籍に係わらず共通する困難さもあったが、外国人が多く居住する集住地域と散在地域では異なる様相が示された。また、災害、親の精神的不調、子どもの障害などにより支援が必要な家庭には、医療通訳、キーパーソン、母語による音声情報や支援に必要な基本単語の多言語化、関係機関との連携、発達健診の基準の確立などが必要であることが示された。また問題が深刻にならないための準備として、対象国の文化理解が重要であることが確認された。