割合文章題の難しさは,学力調査,教育実践,また,心理学研究といったあらゆる場面で指摘されてきた。本研究の目的は,割合既習者の,割合概念の理解の仕方について明らかにするとともに,理解の程度と文章題解決との関連を検討することであった。大学生63名に,割合の意味を説明させて具体例を挙げさせる課題と,割合文章題に取り組ませた。その結果,大学生は,割合を「全体の数量に対し,その一部の数量が,どれくらいを占めているか」と理解している者が多いこと,その理解の精緻化の程度には幅があることが明らかとなった。そして,「基準量を1とみなす」という理解が明確な者ほど,基準量を求める第3用法の文章題で正答数が多く,比や倍を使う解法を取る傾向があることが示唆された。