東京未来大学研究紀要
Online ISSN : 2433-5487
Print ISSN : 1882-5273
原著
割合についての理解と割合文章題解決過程との関連
小林 寛子
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2023 年 17 巻 p. 61-69

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抄録

 割合文章題の難しさは,学力調査,教育実践,また,心理学研究といったあらゆる場面で指摘されてきた。本研究の目的は,割合既習者の,割合概念の理解の仕方について明らかにするとともに,理解の程度と文章題解決との関連を検討することであった。大学生63名に,割合の意味を説明させて具体例を挙げさせる課題と,割合文章題に取り組ませた。その結果,大学生は,割合を「全体の数量に対し,その一部の数量が,どれくらいを占めているか」と理解している者が多いこと,その理解の精緻化の程度には幅があることが明らかとなった。そして,「基準量を1とみなす」という理解が明確な者ほど,基準量を求める第3用法の文章題で正答数が多く,比や倍を使う解法を取る傾向があることが示唆された。

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© 2023 東京未来大学
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