抄録
長期間異文化という特殊な環境で生活することによって、どのように自己形成が影響を受けるのかを明らかにしたいと考え、長期間アメリカ合衆国で生活するある日本人女性のライフヒストリーの聞き取り調査を行った。研究・分析方法は、ライフヒストリー法を使用した。
本研究の対象者である長期滞在の日本人女性は日本に住んでいた頃から、自己・自我が強く確立されており、長期滞在によって海外に適した自己主張がなされ、活動的な自己を形成していった。同時に日系人との歴史的経験、意識、言葉の違いや人種差別の経験を通して、自身を日本人であるという意識が強くなっていったことが明らかになった。