本論文では、子どもの「からだと心」の現状を体育学的に分析し、「心の教育」に潜む問題性とそれに対する教育実践について論じる。その論点は、阪神大震災のときの「心のケア」と小・中学生に無償配布されている『心のノート』に絞る。
大地震後の心のケアは、からだと心に関する課題であることが多く、しかも生活の変化に伴う二次災害の様相が強かった。心のケアは、実際には、心からだけでは対応できない課題であった。『心のノート』は、心に名を借りた道徳教育の手段であり、からだづくりやスポーツまで内容に含まれている。そのことが、愛国心教育にも利用されている。偏狭な“心理主義”は、環境も含めて子どものからだと心を総体としてとらえる教育実践とは矛盾する。