2013 年 6 巻 p. 121-130
本研究の目的は,自閉性障害(autism spectrum disorder:以下ASD)児が示す文法理解の特質を検討するため,J.COSS 日本語理解テストを実施し,理解が困難項目を特定すること。また,ASD の日本語理解の特質として示された受動文の問題に対して,理解促進のための教育的支援を実施し,その有効性を検討することである。対象児は8 歳から11 歳までの特定不能のASD 児4 名。J.COSS 日本語理解テストを用いて対象児の文法理解力を評価した結果,対象児は全員受動文の問題を能動文と誤って解釈していることが誤反応分析から示唆された。そこで,受動文理解促進支援課題として,視覚刺激を活用して絵と文章による見本合わせ法を二週に1 回6 か月半実施した結果,対象児たちの能動文と受動文の理解が促進された。また,部分的ではあるが,日常生活への般化も認められた。これらの結果から,ASD 児において,受動文理解は困難な問題であるが,視覚刺激を活用した支援課題は受動文理解を促進する有効な介入方法であることが示唆された。