東京未来大学研究紀要
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6 巻
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  • ―三重県伊賀市における調査結果をふまえて―
    石阪 督規
    2013 年 6 巻 p. 1-11
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     三重県伊賀市は、大阪と名古屋の中間、三重県北西部に位置する人口約10 万の地方都市である。

     本稿は、この伊賀市の民生委員児童委員、企業に対して行ったニート・ひきこもり支援に関する調査の結果に着目した。「大人たち」が今日のニートやひきこもりどのように見ているか。また、資源や人材、雇用枠が限られる地方都市で、いかにして非就業の若者を支援していけばよいのか。地方都市伊賀の若年無業者の実態を把握するとともに、そこでの支援や取り組み事例をふまえ、これからの若者の就業支援のあり方を考える。

  • ― 心理学の学習がその後の社会人生活でどのように役立ったか ―
    大橋 恵, 岩崎 智史, 藤後 悦子
    2013 年 6 巻 p. 13-21
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     心理学は、「こころについての科学的研究をめざす学問」であるが、心理学を学ぶことがどのように生活に活用されているのだろうか。本研究では、心理学を専攻した社会人および心理学の授業を履修したことのある社会人を対象に、心理学を学ぶことの効果についてウェブ調査を行った。その結果、心理学専攻者の方が、心理学をより役に立つと日常生活において認識していることが、選択式及び自由記述式の調査から判明した。また、内容としては、大学生対象の調査同様人間関係の理解には重点が置かれていたが、カウンセリングに言及するのではなく、相手についての「理解」に焦点を置いた回答や、人間関係にその知見を活用することに役に立つという回答が多かった。さらに、自分の心の持ちようを調整できるようになったという自分をコントロールするという回答も散見された。

  • カレイラ松崎 順子
    2013 年 6 巻 p. 23-31
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     本研究では,日本の大学生を対象にした英語のライティングにおいて「自由なトピック」と「決められたトピック」のどちらのほうが「流暢さ」を高めることができ,さらに,学生はどちらのほうを書きやすいと感じているのかを調べた。その結果,「流暢さ」においても書きやすさにおいても「自由なトピック」と「決められたトピック」において有意な差はみられなかった。自由記述式の回答では,「自由なトピック」に関してはトピックを決めること自体が面倒くさいなどの意見があげられたが,一方で,自由に自分の好きなことが書けるので「自由なトピック」のほうがいいという意見もみられた。

  • 木内 菜保子, 森 薫, 佐々木 由美子, 小林 久美
    2013 年 6 巻 p. 33-40
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     現在、多くの保育者・教員養成課程においては、学生たちを保育・教育現場に送り、さまざまな形で実習外教育を行い、実践力を養成している。本研究は、保育者・教員養成課程における実習外教育について、東京都内の大学を対象に調査を行い、実習外教育の現状を包括的に把握することを目的とした。その結果、実習外教育の有効性は、すべての大学で認めるところではあったが、位置づけや実施形態等には一つとして同じものがなかった。同時に、依頼側である大学と受け入れ側である教育現場のとの間に、実習外教育活動そのものに対する認識の差異があることも明らかになった。

  • ―学士課程食生活と学生サービス経営を中心に―
    小林 久美, 中村 直人
    2013 年 6 巻 p. 41-51
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     本研究は、日本人の食生活の乱れが極端に増加すると言われている大学学士課程における食提供サービスに焦点を当て、制度改革実験および設計という観点からある大学における事例研究と質問紙調査を手がかりにして、食生活における学生サービスの制度改革でどの程度のインパクトが得られるかを解析し、今後の大学における食育システムの確立と食生活の健全化を如何に図るべきかを考察したものである。質問紙調査結果から、以下のようなことが明らかになった。制度改革によって、得られたインパクトは、1)寮生を中心に朝食喫食率が上昇したこと、2)寮生の朝食の時間が整い間食率が減少したこと、3)寮生の朝食の品数は他の居住形態に比べて多く、栄養バランスがとれていることである。今後は、さらなる制度改革実験を行い、経済的側面と合理的選択行為に関する分析も加味し、昼食および夕食の欠食率の減少や食事の内容の改善を目指したい。

  • ―創作活動を中心に―
    執行 智子, カレイラ松崎 順子
    2013 年 6 巻 p. 53-62
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     本研究では,絵本の読み聞かせや歌とジャズ・チャンツを導入に用い,その後絵本を創作し,ジャズ・チャンツにのせてその絵本をストーリー・テリングする活動を行うプログラムが,参加者のことばの気づきや活動への取り組みにどのように影響するかを調査した。参加者たちのジャーナルには,「楽しい」や「面白い」という,本プログラムを肯定的に捉える記述が多く見られた。このことから,本プログラムを概ね肯定的に受け止めたと言えるであろう。さらに,プログラムが進んでいくうちに,「楽しい」や「面白い」という対象が異なり,参加者が日を追うごとに,より具体的な目標に向かって活動と関わろうとしている姿がうかがわれた。

  • ―ロサンゼルスとニューヨークの事例に即して―
    末藤 美津子
    2013 年 6 巻 p. 63-73
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     これまで年間1、2 回行われる授業観察が主流であったアメリカの教員評価のあり方が、近年、大きく揺らいでいる。2002 年に制定されたNCLB 法が「高い資格を有する教員」の雇用を義務づけたり、2009 年から開始されたRTTT プログラムの財政支援を受けるには生徒の学業成績と教員評価を結びつけることが条件とされたりしたからである。2010 年8 月にはロサンゼルスで、2012 年2 月にはニューヨークで、生徒のテスト成績に基づく付加価値評価と呼ばれる教員評価の結果がメディアに公表された。教員組合の強い反発にもかかわらず、親や納税者の知る権利は公務員のプライバシーに勝るとの司法判断も下され、全米で大きな論議を呼んでいる。ロサンゼルスとニューヨークの事例に即して、付加価値評価を教員評価に用いることならびにそうした教員評価の結果を公表することの妥当性を検討する。

  • ―主に萬福直清の文献を基にして―
    鈴木 哲也
    2013 年 6 巻 p. 75-83
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     本研究では萬福直清の文献を基に明治後期における小学校理科の動物解剖の位置づけを生体解剖されうる動物の種類と目的及び生命尊重の観点から分析し明らかにしたものである。結果としては、生体解剖をして内部の様子を観察しうる可能性がある動物として、二枚貝としてカラスガイ或いはハマグリ、シジミ、魚類としてフナやコイなど、両生類としてカエル、鳥類としてニワトリ、哺乳類としてウサギが示されていた。また当時の教科書としては明治43 年の児童用教科書には記載がないが、教師用書の中には二枚貝、イカ及びフナは観察事項として位置づけられていた。生体解剖の目的としては二枚貝、イカ、フナはそれらの動物そのものを知るための手段として、ウサギやニワトリは人体の理解の手段として解剖される可能性があることがわかった。また生体解剖において生命尊重に対する配慮はみられなかった。これはこの当時の自然に対する知識観が反映している可能性があることを指摘した。

  • ―自己老人イメージのSD 法とテキストマイニングによる分析を通して―
    高橋 一公
    2013 年 6 巻 p. 85-94
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     今回の研究では「自己老人イメージ」(将来、自身が老人となったときのイメージ)を通して、SD 法によるイメージの測定結果と自由記述におけるイメージの測定結果との関係性について検討した。その結果、SD 法の因子分析の結果、「評価」「活動性」「有能性」「秩序性」「勢力」の5 因子が抽出された。さらに因子分析の因子得点を用いて3 つのクラスタを抽出し、このクラスタと頻出語の対応分析を試みた結果、それぞれのクラスタが特徴的な語と対応していることが示された。特に肯定的なイメージを有するクラスタは肯定的な対人関係を示すような語の、否定的な印象を持つと評価されたクラスタは観察可能な活動あるいは否定的な状態を示すような語の使用が見られた。

  • 宅間 雅哉
    2013 年 6 巻 p. 95-107
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     イギリス地名協会による『イングランド各州地名要覧』(以下,『要覧』)から気候地名を収集し,地名に反映された気候要素ごとに,イングランド全土の分布図を作成するというプロジェクトにおける最初の成果報告として,本稿では南東部のSurrey 及びSussex を扱った.『要覧』に示された語源情報,地名の古形,解説等を根拠として,計106 の地名を気候地名と判断した.日照・日射に関する地名及び寒暖に関する地名が最も多く,ともに31 例であった.ただし後者には「暖」を意味する地名は1 例も見られない.続いて季節に関する地名24 例,乾湿に関する地名13 例,風に関する地名7 例となる.今回の調査で,新たに「洪水」「虹」「露」「荒天」「風車」の意味が語源に反映された地名を確認した.分布図の比較では,日照・日射に関する地名と季節に関する地名に興味深い傾向が見られた.また今後の研究発展のため,気候地名の定義を再検討する必要性を論じた.

  • ―ネパールの子どもたちの描画を通して―
    藤後 悦子, 坪井 寿子, 田中 真奈美, 鈴木 光男, 磯 友輝子
    2013 年 6 巻 p. 109-120
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     This research is focused on the acknowledgement and relationship of children's sensitivity to nature. We selected children's drawings from a mountain village in Nepal. The results of this research concluded three points: 1. Children of Nepal drew mountains and acknowledged nature in their daily life. 2. HTP drawings of Nepal are integrated and real. It is clear that they have a close relationship with nature in their daily life. 3. In Nepal's children's drawings, the people are small and houses and mountains are big.

  • 中川 佳子, 小山 高正
    2013 年 6 巻 p. 121-130
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,自閉性障害(autism spectrum disorder:以下ASD)児が示す文法理解の特質を検討するため,J.COSS 日本語理解テストを実施し,理解が困難項目を特定すること。また,ASD の日本語理解の特質として示された受動文の問題に対して,理解促進のための教育的支援を実施し,その有効性を検討することである。対象児は8 歳から11 歳までの特定不能のASD 児4 名。J.COSS 日本語理解テストを用いて対象児の文法理解力を評価した結果,対象児は全員受動文の問題を能動文と誤って解釈していることが誤反応分析から示唆された。そこで,受動文理解促進支援課題として,視覚刺激を活用して絵と文章による見本合わせ法を二週に1 回6 か月半実施した結果,対象児たちの能動文と受動文の理解が促進された。また,部分的ではあるが,日常生活への般化も認められた。これらの結果から,ASD 児において,受動文理解は困難な問題であるが,視覚刺激を活用した支援課題は受動文理解を促進する有効な介入方法であることが示唆された。

  • 中和 渚
    2013 年 6 巻 p. 131-139
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     The paper discusses the current situations in pre-primary and primary mathematics education in Nepal, focusing on the activities by Ministry of Education and Sports (MOES), Triphvaan University (TU) and schools in Kathmandu. The author conducted the document analysis, interviews to stakeholders and mathematics lesson observations. The result shows that MOES and TU share almost the same direction for the improvement of mathematics education. The syllabus places an emphasis on everyday life with the enhancement of joy of learning mathematics. By contrast, at the school level, teachers taught students using the teacher-centred approach, which children's learning was by far different from its philosophy stated in the syllabus as well as by MOES and TU.

  • ―保育の質を高めるために―
    福﨑 淳子, 佐々木 恵美子, 小野寺 冨美子, 鈴木 君栄, 佐々木 章江
    2013 年 6 巻 p. 141-151
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     環境作りをテーマにした園内研修において、人的環境の視点から環境作りを考えていこうという園内研修の取り組みが、保育者の学びを積み重ねていきたいという声によって、継続的に行われた保育園がある。本研究では、子どもが楽しく遊ぶ環境作りを考えていくために、目に見えない人的環境に視点をあてた保育園での継続的な園内研修の試みを通して、日々の保育実践を振り返りながら、保育者が記録したエピソードをもとに、保育者間で話し合うことによって生まれる気づきが、子ども理解を深め、次の保育実践へとつなげる原動力ともなり、さらに、その取り組みが継続的になされることの意義を明らかにした。また、エピソード記録の継続的な取り組みにより、保育者間の共通理解が深まるとともに、その意義が保育者に自覚化され、保育の質を高めるための深い学びとなっていることが考察された。

  • 真家 英俊
    2013 年 6 巻 p. 153-163
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2018/12/16
    ジャーナル フリー

     本研究は、小学生における体格と運動能力との関係について横断的に検証することを目的とした。東京都内の公立小学校に通う小学生7,291 名(男子3,675 名、女子3,616 名)を対象とした。運動能力の測定は、文部科学省の新体力テスト実施要項に準じておこなった。男子では、身長と握力、長座体前屈、およびソフトボール投げ、体重と握力、ローレル指数と握力、20mシャトルラン、50m走、および立ち幅とびにおいてすべての学年で有意な相関が認められた。女子では、身長と握力、長座体前屈、50m走、およびソフトボール投げ、体重と握力および長座体前屈、ローレル指数と20mシャトルラン、50m走、および立ち幅とびにおいてすべての学年で有意な相関が認められた。小学生の運動能力においては、筋力発揮や上肢の瞬発力発揮は身長や体重の発育の影響を受ける一方、ローレル指数の増加は身体移動をともなう運動のパフォーマンスを低下させる要因であることが示唆された。

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