2016 年 9 巻 p. 11-19
現代の子育て支援の課題として、「仕事と子育て」の両立が中心的なテーマとなっている。女性の社会進出、次世代育成など子どもを産み育てやすい社会の構築が、エンゼルプラン以降、20 年来の課題である。これらをふまえ、本論文では、未曾有の不景気とされる昨今の社会状況と対照的なバブル期(1986~1991)の社会状況との検討を行い、経済、社会状況の変動による子育ての変化をみるとともに、社会情勢と子育ての在り方を問うことを主な目的とした。バブル期における子育ては、現在の子育て支援よりも乏しく、また少子化が取り上げられた1.57 ショックが1990 年であることを踏まえると、好景気とされる時代に少子化が指摘されたこととなる。これらの背景には、少子高齢化社会の高齢化への対応が優先されたことや保育施設の量的側面の不備が挙げられる。景気の良い時代に、少子化が問題化されたことを踏まえると、景気が良くなれば結婚、出産という短絡的な発想にはならないということが明らかにされた。