季刊地理学
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研究ノート
屋上緑化活動に伴った中学生の環境に対する意識および認識の変化
澤田 康徳
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2014 年 66 巻 1 号 p. 1-16

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抄録

これまで学校教育において多くの緑化活動がなされている一方で,屋上緑化活動に伴う児童・生徒の環境意識の変化について明確にされてこなかった。本研究では,中学生を対象としたアンケート調査に基づき屋上緑化活動に伴った環境に対する意識や認識の変化を提示した。
屋上緑化活動に参加する(活動あり)生徒群は,緑化前・後ともに「屋上緑化」に関して『関心』および『知識』の程度は活動に参加しない(活動なし)生徒群より高く,平均的に緑化後には緑化に対する活動の『意欲』が増大する。一方で,「活動なし」の生徒群は「屋上緑化」や「緑化に用いる植物」に対する『関心』が緑化後に低下する。そして,「活動あり」の生徒群のうち緑化後に緑化に対する活動の『意欲』の増大が顕著であった生徒では,「屋上緑化」や「屋上緑化に用いる植物」に関する『関心』の増大が活動の『意欲』が増大していない生徒よりも明瞭であった。また「活動あり」の生徒群では,「メディア」の活用だけでなく「経験」によって情報を獲得し,さらに緑化後に緑化に対する活動の『意欲』の増大が顕著であった生徒は,知識の保有に関しても高い自己認識を持つようになった。したがって,中学校段階における緑化活動は,活動に対する『意欲』を増大させ,活動意欲の増大が『関心』および「知識保有の認識」の増大と関連しており具体的な「経験」は重要な活動と考えられる。

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© 2014 東北地理学会
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