季刊地理学
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研究ノート
奈良盆地と京都盆地における水文気候学的特性の比較
──ソーンスウェイト法による年候解析──
丸本 美紀
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2014 年 66 巻 2 号 p. 82-93

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抄録

奈良盆地と京都盆地は同じ瀬戸内気候に属し,隣接する盆地である。しかし,奈良盆地では古代より「干ばつ」,京都盆地では「大雨」「洪水」と異なる気候風土が形成されてきた。本研究では,両盆地の気候の乾湿に注目し,1954~2012年の気象データを用いて,ソーンスウェイト法により可能蒸発散量を算出し,気候学的水収支計算を行った。さらに,これらの結果からmoisture index, aridity index 及びhumidity indexを求め,年候的に気候分類を行った。その結果,可能蒸発散量は全年において京都が奈良を上回り,最大で76.8 mm/年の差がみられた。水過剰量についても59年中50回京都が奈良を上回り,最大で446.7 mm/年の差がみられた。反対に水不足量は奈良が京都を上回る頻度が多く,最大で93.4 mm/年の差がみられた。気候分類の結果は,平均値の気候分類が奈良でB3B2′rb3′,京都でB4B3′rb3′であったのに対し,年候による最多出現の気候分類は奈良でB2B2′rb3′(23.7%),京都でAB2′rb3′(18.6%)であり,京都は奈良よりもやや温暖で湿潤な気候であることが示された。

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© 2014 東北地理学会
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