季刊地理学
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論説
横手盆地北部・桧木内川のMIS 3に離水した堆積段丘
小松原 琢本郷 美佐緒古澤 明
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2022 年 73 巻 4 号 p. 233-249

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抄録

 横手盆地北部に流入する桧木内川には,厚い堆積物を持つ堆積段丘が発達する。筆者らは,この段丘面を覆うテフリックレス中のクリプトテフラと段丘堆積物中の有機質泥の花粉化石を分析した。その結果,段丘堆積物から針葉樹主体でブナ属花粉を含まない汎針広混交林に相当する花粉組成が得られ,テフリックレス最下部から十和田大不動テフラ (約36 cal ky BPに降下) と同定されるクリプトテフラが得られた。これらは,当地域ではMIS 3における離水に至るまで,完新世よりやや冷涼で降水量の少ない気候下で堆積段丘が形成されたことを示す。

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© 2022 東北地理学会
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