2022 年 74 巻 4 号 p. 159-178
近年,都市における居住者の生活意識や生活行動の地域差が,様々な指標を用いた近隣環境との関連から議論されてきた。しかし,様々な指標との組み合わせによって把握できる総合的な「街の形」の特性は十分に把握できていない。そこで,本研究では仙台都市圏を対象に,居住地域を複数の都市形態指標に基づいて類型化し,近隣の物的形態から日本の居住地域で特徴的な型を抽出した。その上で,社会調査資料により得られた居住地域毎の諸評価の差は個人属性を統制してもなおみられることを確認した。その結果,近隣の物的形態が居住地域の住みやすさに関連していることが明らかとなり,特に高い密度,接続性,アクセス性によって他地域と区別される地区類型,すなわち都心部周辺での居住が地域に対する多面的な高評価と結び付いていることが示唆された。