抄録
本稿の目的は, 首都圏において, 大型店の業態や規模の違いによる空間的分布パターンの相違を明らかにすることである。研究対象期間は, 特に大型店の増加が著しかった1975年から1981年の間とした。結果を要約すると以下の通りである。
(1) 大型店の増加は, 規模の大きいタイプI (売場面積1,500m2以上) よりも, 規模の小さいタイプII (売場面積500m2以上1,500m2未満) に主流があり, また業態別にみると, 百貨店や月賦販売店よりもスーパーや専門店の増加が目立つ。
(2) 首都圏においては, 都市化の進展状況と大型店の動態との間に強い関係が認められる。
(3) 大型店の空間的分布パターンは, 大型店の規模の大小や業態の違いによって差がみられる。すなわち, 規模の大きいタイプIは分布地域が狭く, 集中的分布パターンを示しているのに対し, 規模の小さいタイプIIは分布地域が広く, 分散的分布パターンを示している。業態別では, 百貨店や寄合百貨店が集中的分布パターンを示しているのに対し, スーパーや専門店は分散的分布パターンを示している。
(4) 大型店の空間的分布パターンは, 1975年から1981年までの間により郊外化しており, この傾向はタイプIよりもタイプIIに強く, 業態別では百貨店や寄合百貨店よりもスーパーや専門店にこの傾向が強い。