季刊地理学
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節理系の開口で発達する多重山稜
八木 浩司
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1994 年 46 巻 4 号 p. 269-274

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抄録

ネパール中西部グルジャ・ヒマールの前縁斜面に発達する多重山稜の成因を考察した。多重山稜付近の地形断面や平面形態は, 頂部緩斜面の東側下方への変位と山稜の沈下を示している。多重山稜直下周辺では, 広い範囲で基盤岩の節理系に開口が進むことが観察された。その開口した節理系の走向は南北で, 多重山稜のそれと調和的である。さらに, 発達するオープン・クラックは注入粘土状の細粒物質で充填されている。これらのことから本地点の多重山稜は, 岩盤の重力性ブロック・グライドによる節理系の開口に伴う頂部斜面の変位と陥没によって発達したものである。

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