季刊地理学
Online ISSN : 1884-1252
Print ISSN : 0916-7889
ISSN-L : 0916-7889
北海道置戸町鹿ノ子ダム, 鹿ノ子大橋左岸の永久凍土の衰退
曽根 敏雄
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 48 巻 4 号 p. 293-302

詳細
抄録

永久凍土は, 普通年平均気温が0~-2℃以下の地域に分布するが, プラス数℃の地点でも点在的に存在することがある。北海道置戸町では, 1979年に道路工事の際に地下氷が発見された。著者はこの地点で, 1987年以降地温観測を行なってきた。地温が気温の季節変化に応じて地下10m深まで変動し, 永久凍土の下限は融解期に上昇し, 凍結期に下降した。1989年までは規模を縮小しつつも永久凍土は残存していたが, 1990年の秋には融解した。ここには風穴が存在し, 地中で熱の移流があり, 永久凍土の保存に有利になっていたと考えられた。

著者関連情報
© 東北地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top