天理医療大学紀要
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難病の理解 ―循環器難病「心筋症」を通して―
金井 恵理
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2023 年 11 巻 1 号 p. 36-44

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抄録

 わが国で初めて難病が定義されたのは1972年である。新たに2015年難病法では,①発病の機構が明らかでなく,②治療方法が確立していなくて,③希少な疾患であり,かつ④長期の療養を必要とする疾患,と位置付けられた。2022年現在338疾病が指定難病であるが,拡張型心筋症と肥大型心筋症は,難病法施行以前より難病として認識されていた循環器難病である。難病はその希少性ゆえに研究や治療が進まないことが問題である。しかしながら心筋症に関しては,近年の病因に関する研究や治療の進歩が著しい。元々原因不明であったのが最近では遺伝子変異が関わることがわかってきて,それに従い定義や分類も変わってきた。治療の進歩により病状の進行を遅らせることにも成功している。難病患者の支援にも進歩が見える。難病相談支援センターの設置など,以前と比べて様々な立場の人たちが関わってきめ細やかな患者支援が可能になってきた。しかしながら難病のなかには,特に患者数の少ない疾病など,以前と状況があまり変わっていないものも見受けられる。引き続き,研究・治療・患者支援と多角的な方面から難病に取り組むことが必要と考える。

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