2018 年 6 巻 1 号 p. 3-13
本研究は,A町介護予防教室に参加する地域高齢者の実態と特性を明らかにすることを目的とした。
2016年度介護予防教室参加の65歳以上の高齢者を対象とし,質問紙法を用いてデータを収集し,記述統計量と各項目の関連を分析した。自由記述の回答に関しては内容のある文章を文脈に留意しながら意味を損なわない単位で抽出し,内容の類似性に基づいて分類し,カテゴリー化した。
対象者は93名,習い事は81.7%があり,77.4%は通院していた。主観的健康感は,「ふつう」「まあよい」「よい」を合わせて90.4%であった。睡眠状態は「よく眠れている」「とてもよく眠れている」を合わせて87.1%であった。各項目間の相関は認められなかった。対象者の参加理由として,【健康と自立の維持】,【参加のしやすさ】,【講師の指導の魅力】,【コミュニティならではの継続効果】,【地域コミュニティの構築】の5カテゴリーを抽出した。また,今後期待することとして,【健康と自立のための取り組み】,【参加の継続】,【教室内容の充実】,【参加コミュニティの拡大】,【地域単位での自立した活動】の5カテゴリーのニーズが明らかとなった。
介護予防教室に参加する地域高齢者は,身体機能は全国と比べやや下回るが,大半が習い事をしたり体調は良いことから,いわゆる元気高齢者である。また健康や自立に対して責任や介護予防の効果の自覚を持っており,介護予防教室の継続参加しその効果を得られると考えられる。今後もコミュニティ参加の継続を希望し,教室の内容やこれからの地域活動をより良くするための努力したい思いが明らかになり,その環境づくりやサポートが必要であることが示唆された。