天理医療大学紀要
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高齢女性の老いの受けとめと要介護期および終末期の医療と生活に関する意思形成 -老いの認識についての語り合いから-
川喜田 恵美
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2019 年 7 巻 1 号 p. 3-15

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抄録

高齢者の老いの受けとめと要介護期・終末期の医療に対する意思形成の状況を明らかにするために,高齢者同士の語り合いを実施した。参加者はシニアボランティア組織に所属する70代の女性5名である。語りを質的に分析した結果,老いの認識については《老いの自覚》,《認知機能低下の自覚》,《年齢へのこだわり》,《死や寿命を意識する》,《夫と老いを生きる》,生活の将来像については《永遠の健康》と《老後の不安》が抽出された。参加者は《永遠の健康》を願い,その実現のために《活動的・積極的な生活》に努め,役割を自覚して様々な活動に取り組んでいた。他方,《老後の不安》に関しては《嫌なことは先送り》という対処を行っていた。語り合いは老いの認識や日常的な問題の対処方法の知識の獲得に役立つことが確かめられたが,参加者の老いの受けとめは《永遠の健康》という幻想と共存していた。この幻想は人間の生を成り立たせている前提であり,要介護期以降の生活に関する意思形成の支援では,その否定とそれによって生じるであろう深刻な不安について倫理的,心理的,社会的,宗教的な観点から十分な検討が必要である。

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© 2019 学校法人天理よろづ相談所学園 天理医療大学
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