Thermal Medicine
Online ISSN : 1882-3750
Print ISSN : 1882-2576
ISSN-L : 1882-2576
Original Paper
空胴共振器加温方式のための自動インピーダンス整合システムの開発
新藤 康弘加藤 和夫高橋 英明宇塚 岳夫藤井 幸彦
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 26 巻 2 号 p. 63-74

詳細
抄録

本論文は非侵襲的な癌温熱治療を目的とした, リエントラント型空胴共振器加温方式のための自動インピーダンス整合システムについて述べている. これまでに, 我々は有限要素法による数値解析および手動インピーダンス整合による寒天ファントムを用いた加温実験により本加温方式の有用性を示してきた. 本加温方式において, 空胴共振器内部に効率的に加温電力を供給するためには, インピーダンス整合および励振周波数と共振周波数の一致が必要不可欠である. これまでの試作加温システムにおいて, これらの整合は研究者により手動で行われてきた. しかし, 高次の電磁界共振モードを用いる加温を行う際に, インピーダンス整合および, 周波数の同調が困難であった.
 そこで, これらの問題を解決するために, 我々は自動インピーダンス整合システム (AIMS) を開発した. インピーダンス整合が不完全な場合に反射波電力が発生することが知られている. 本システムでは, コンピュータにフィードバックされた反射波電力値を小さくするように, 整合器内部の可変コンデンサに接続した二つのステッピングモータを開発したプログラムによって自動制御している. 開発したシステムの性能を評価するため, 寒天ファントムを用いた加温実験を行い, 手動によるインピーダンス整合での加温結果と比較を行った. 定在波比の値は, 手動インピーダンス整合および自動インピーダンス整合とで, それぞれ, 1.05および1.01であった. これらの結果から, TM012-like mode使用時には, 開発した自動インピーダンス整合システム (AIMS) を用いた加温結果は, 手動による結果の約1.8倍の温度上昇を得ることができた. また, TM010-like mode使用時には約1.1倍の温度上昇が得られた. これらの結果から, 開発した自動整合システムの有用性を明らかにした.

著者関連情報
© 2010 日本ハイパーサーミア学会
前の記事
feedback
Top