Thermal Medicine
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消化管癌に対する温熱療法の役割
高橋 健夫齋藤 淳一小此木 範之岡崎 篤
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2013 年 29 巻 1 号 p. 25-36

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抄録

消化管癌は胃癌, 直腸癌, 食道癌の罹患率が高い. これらに対する治療方法は手術療法が基本であるが, 局所進行癌や再発癌に対しては集学的治療が施行される. その主体は化学放射線療法であり直腸癌に対しては術前治療, 胃癌に対しては欧米では術後治療が, そして食道癌に対しては術前治療もしくは根治的化学放射線療法が施行される. これらに局所的温熱療法を併用し良好な治療成績が得られた報告が複数認められる. 今回, 消化管癌に対する局所的温熱療法の有効性について評価を行った. 温熱療法は従来より基礎的研究において, 放射線ならびに種々の抗がん剤との増感効果が報告されているが, 特に新規抗がん剤との温熱増感効果はさらなる治療成績の向上に結び付く可能性がある. 胃癌を含む消化器癌の腹膜播種に対しては腹腔内温熱化学療法の有効性が報告され, 期待される治療法である. 温熱療法との併用においては免疫療法も可能性を持っている. さらなる温熱増感のメカニズムの解明と, さらなる適切な臨床試験の実施により温熱療法の有効性を証明していく必要がある.

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© 2013 日本ハイパーサーミア学会
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