日本ハイパーサーミア学会誌
Online ISSN : 1881-9516
Print ISSN : 0911-2529
ISSN-L : 0911-2529
Reviews
低線量γ線の全身照射による生体免疫能の活性化
小島 周二早瀬 央健高橋 希之
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 22 巻 1 号 p. 13-22

詳細
抄録

まずはじめに, マウスに0.5Gyのγ線を全身照射し, 脾細胞内glutathione (GSH) 量の変化を検討した. 細胞内GSH量は照射後2時間より増加, 4時間前後に最大値を示し, その後, 低下, 12時間以降は照射前とほぼ同じ値を示した. 一方, NKおよびADCC活性は, いずれも照射4~6時間後に有意な活性上昇が見られ, GSH量の変動パターンと良く一致していた. 次に, 低線量γ線照射のエールリッヒ固形がん増殖に対する抗腫瘍効果 (腫瘍免疫) を検討すると, 非照射群と比較し, 照射群 (0.5Gy×4times) では有意にがんの増殖が抑制された.
この機構として, 低線量γ線によるサイトカインバランスのTh1タイプへのシフトによる細胞性免疫の亢進が示唆された.

著者関連情報
© 2006 日本ハイパーサーミア学会
前の記事 次の記事
feedback
Top