2006 年 22 巻 1 号 p. 13-22
まずはじめに, マウスに0.5Gyのγ線を全身照射し, 脾細胞内glutathione (GSH) 量の変化を検討した. 細胞内GSH量は照射後2時間より増加, 4時間前後に最大値を示し, その後, 低下, 12時間以降は照射前とほぼ同じ値を示した. 一方, NKおよびADCC活性は, いずれも照射4~6時間後に有意な活性上昇が見られ, GSH量の変動パターンと良く一致していた. 次に, 低線量γ線照射のエールリッヒ固形がん増殖に対する抗腫瘍効果 (腫瘍免疫) を検討すると, 非照射群と比較し, 照射群 (0.5Gy×4times) では有意にがんの増殖が抑制された.
この機構として, 低線量γ線によるサイトカインバランスのTh1タイプへのシフトによる細胞性免疫の亢進が示唆された.