2007 年 23 巻 1 号 p. 31-40
ハイパーサーミア (HT) によるアポトーシス誘導のメカニズムを, ヒト前骨髄性白血病細胞HL-60を用いて検討した. HL-60を43℃で60分間処理し, 形態観察およびDNAラダーの検出によりアポトーシスの誘導を確認した. カスパーゼ-3および8の活性を経時的に測定し, カスパーゼ-3, 8および9の阻害剤によるカスパーゼ-3活性とアポトーシス誘導に対する影響を検討した. HT処理開始後, 早い時期からアポトーシスが誘導され, DNAラダーは処理終了後1時間から観察された. カスパーゼ-3および8は, HT処理によって活性化され, カスパーゼ-3および8の阻害剤添加によって, カスパーゼ-3の活性化とアポトーシス誘導はほぼ完全に阻害された. 一方, カスパーゼ-9の阻害剤添加によって, 両者は部分的に阻害された. 以上の結果より, HTはカスパーゼ-3の活性依存的にアポトーシスを誘導し, カスパーゼ-3の上流に位置するカスパーゼ-8と9は, カスパーゼ-3の活性化に重要な役割を担っていることが示された.