日本ハイパーサーミア学会誌
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局所マイルドハイパーサーミアによるNK細胞の活性化と調節性T細胞数の減少
照沼 裕和田 綾乃XUEWEN DENG安間 芳秀大西 哲郎土岐 敦阿部 博幸
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2007 年 23 巻 1 号 p. 41-47

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抄録

マイルドハイパーサーミアでは悪性腫瘍に対して熱による直接的傷害は期待できないが, 免疫系が活性化すれば間接的に悪性腫瘍を傷害できることが報告されている. 今回我々は, 局所マイルドハイパーサーミアにより, NK細胞やTリンパ球などのリンパ球分画にどのような変化が起こるかを検討した.
 局所マイルドハイパーサーミアは, サーモトロンRF8を用いて, 30 cmの外部電極で上腹部を挟み, 約900 watt, 30分間高周波をながす局所加温でおこなった. 免疫系の変化として, 健常人の血中の白血球数・リンパ球数・その分画の割合と細胞数・NK活性などを加温操作の前後で測定して比較した.
 マイルドハイパーサーミアをおこなう直前と比較して, 加温1日後と7日後のリンパ球中でのNK細胞百分率・細胞傷害性NK細胞百分率・NK活性, 加温1日後の細胞傷害性NK細胞数が有意に増加した. また, 加温1日後と7日後のリンパ球中でのTリンパ球百分率・CD4陽性Tリンパ球百分率, 加温7日後のCD4陽性Tリンパ球数が有意に減少した. 興味深いことに, 免疫抑制に関与する調節性Tリンパ球百分率・調節性Tリンパ球数が有意に減少した.
 これらの結果は, 局所マイルドハイパーサーミアにより, NK細胞を中心とした自然免疫が活性化される一方, 調節性T細胞による免疫抑制が解除され, 悪性腫瘍に対する免疫活性が増強される可能性が示唆された.

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© 2007 日本ハイパーサーミア学会
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