抄録
局所温熱療法用発熱素材であるマグネトリポソームの患部への取り込みについて, 磁力印可の効果について検討を行った.培養腫瘍細胞の培養基下面に磁石を設置することでマグネトリポソームの細胞内への取り込み量を著しく向上させることができた.また, 担ガンラットを用いて, 実際の腫瘍組織へ磁性微粒子を局所投与する際に, 磁力印可の効果を調べたところ, 磁力印可を行わなかったコントロール群では27.4%の集積量であったのに対して, 磁力印可を行うと70.0%の集積量が得られた.この担ガンラットに高周波磁場を印可し, マグネトリポソームを発熱素子とする温熱治療を行った.その結果, 加温の効率が高まり, 腫瘍組織のおよそ90%の領域を壊死させることができた.