日本ハイパーサーミア学会誌
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単純泉による温泉療法により誘導されるHeat Shock Protein 70の評価
田澤 賢次岡野 純代八塚 美樹安田 智美吉井 美穂小川 耕平伊藤 要子田澤 賢一和田 重人
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2005 年 21 巻 1 号 p. 21-32

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抄録

温泉療法の生体防御に及ぼす効果を評価する目的で, 健康な男女10名を対象に40℃, アルカリ性単純温泉における温泉入浴後のHsp70およびHsp70mRNAの誘導と血液学的, 免疫学的動態について検討した. 温泉入浴1回群 (10分間) におけるHsp70の発現量は入浴前のコントロールに比して48時間後に1.2倍, 96時間後に1.6倍の増加を認めた. Hsp70mRNAの発現量では, 温泉入浴1回群において96時間後に1.4倍, 2回群において48時間後に1.7倍, 96時間後に1.82倍の増加を認めた. 血液検査においては温泉入浴1回群の48時間後にリンパ球の増加 (p<0.05), 96時間後には過酸化脂質, 総ケトン体, アセト酢酸, 3-ヒドロキシ酪酸 (p<0.05) の低下を認めた. NK活性は48時間後に低下したが, 96時間後には入浴前値までの回復を認めた. 2回群では48時間後に, 白血球の増加 (p<0.05), 96時間後にはカタラーゼの増加, 過酸化脂質およびアセト酢酸 (p<0.05) の低下を認めた. NK活性は48時間後に低下し, 96時間後には更に低下 (p<0.05) していた. 以上の結果から, 温泉療法の疾病予防効果におけるHsp70の関与が示唆され, 温泉療法が抗酸化的防御機構にも関与している可能性が明らかになった.

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