抄録
【はじめに】2006年4月の診療報酬改定により、厚生労働省が提唱する地域完結型医療の一つとして「地域連携パス」が導入された。当院も医療拠点病院の一つとして、行政主導のもと大腿骨頚部骨折の「地域内統一連携パス(以下連携パス)」を医療圏内共同で作成し、運用してきた。2006年10月から試行を開始し、入院日数やリハビリ日数、転院率などの変化を調査した。
【対象と方法】当院にて大腿骨頚部骨折と診断され、術後リハビリを依頼された患者様のうち、2006年4月~9月までに入院された症例を連携パス導入前群(院内パス使用群)、2006年10月~2007年3月までを導入後群とした。症例数は導入前群37例、導入後群40例となり、日数調査においては術後早期死亡例や早期転科例あわせて4例を除外した。2群間における入院日数・リハビリ日数の有意差をt検定(危険率1%)にて検討した。また、当院からの転出先の推移も併せて調査した。
【結果】各項目を2群間で比較した結果、平均入院日数は45.1日→28.9日、リハビリ日数は36.5日→18.9日となり、それぞれ有意に日数の短縮がみられた(p<0.01)。また転出先では回復期病院への転院が15例(40.5%)→28例(70%)、介護施設へ5例(13.5%)→3例(7.5%)、在宅へ16例(43.3%)→5例(12.5%)との結果であった。
【まとめ】大腿骨頚部骨折は高齢者に多く、医療から介護部分への関わりが必要となる。当院を含めた医療圏内では各施設間や在宅との連携ツールとして連携パスを試行・運用してきた。今回の調査では入院日数およびリハビリ日数において有意に短縮していることが確認されたが、連携パスにより各施設間での情報の共有と統一化を図ることで、患者様や家族の意欲継続にも役立つと考えられる。特に急性期病院では転院ありきの医療とならぬよう、質の高い医療を目指し、患者様のための連携であることを忘れてはならない。連携パスでは退院後6ヶ月時点で維持期より当院へと情報がフィードバックされ、院内パスではできなかった患者様のその後のリハビリや生活状況の確認にも活用できるようになる。今後も地域内連携を強化し、適切な医療が提供できるよう、連携パスの見直しやバージョンアップも検討していく。