東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O033
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内側縦アーチ高率の違いによる歩行時の筋活動様式の違い
*藤田 翔平安倍 浩之小林 裕和下 嘉幸岡田 英治森下 真樹山之内 真宏福山 支伸田中 伸幸川口  善教
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抄録

【はじめに】 歩行において足の機能は接床時の衝撃緩衝作用や立脚期全般の運動性などに重要な役割を担っている。諸家の歩行分析に関する研究では、歩行周期と筋活動についての報告は多数なされているが、内側縦アーチ高率(以下、アーチ高率)と歩行時の筋活動を分析した研究は少ない。Mini-Soumi研究(1982)では健常者の70%以上に足の構造異常が認められると報告されており、アーチ高率に注目して歩行時の筋活動を見ることは意義深い。 そこで今回、アーチ高率と歩行時の筋活動様式の関係について検討したので、若干の考察を加えて報告する。 【対象と方法】 対象は整形外科的疾患のない健常成人13名(男性8名・女性5名、平均年齢21.08歳±2.14歳、平均体重66kg±18.63kg)であり、測定足は軸足とした。対象者には事前に研究目的、測定方法を説明し同意を得た。 方法は、まず、軸足を体重計の上に乗せ、均等な荷重がかかるように立位保持をさせた。そして、その姿勢で舟状骨高を計測し、大久保が提唱している足アーチ高率(舟状骨高/足長×100)を算出した。次に、歩行時の筋活動は10m自然歩行をNORAXON社製TeleMyo2400TG2を用いて導出した。被験筋は内側広筋(VM)・外側広筋(VL)・長腓骨筋(PL)・前脛骨筋(TA)・腓腹筋内側(GM)・腓腹筋外側(GL)・母趾外転筋(AH)の7筋とした。 MyoResearchXPにて筋電波形は全波整流化し、立脚期を100%として正規化した。そして安定した3回の立脚期における、各筋の活動開始時期(%)・活動終了時期(%)・活動時間(%)をそれぞれ算出した。 統計処理は、足アーチ高率と各筋における上記各時期との関係を明かにするため、Fisherの相関分析を行った。 【結果】 アーチ高率とAHの活動開始時期との間に有意な正の相関を認めた(r=0.565)。また同筋の活動時間との間に有意な負の相関を認めた(r=-0.6)。他の筋においては有意な相関は認められなかったが、アーチ高率が低いと、ほとんどの筋の活動時間が長くなる傾向にあった。 【考察】 今回の結果から、AHの活動開始時期はアーチ高率の高い者では立脚期の約60%時であったが、アーチ高率の低い者では、立脚期のほぼ0%で活動し始めた。Tittel.K(1994)によると AHの活動は歩行周期の約40%(立脚期の約60%)で始まると報告している。 また、アーチ高率の高い者においてAHの活動は、主に立脚中期以降に相動的に活動したが、アーチ高率の低い者は立脚期全般にわたって多相性に活動した。これはアーチ高率の低い者は、アーチを保持するため補助筋が過剰に活動したり、また、下肢アライメント異常からおこる立脚期不安定性に対応するために立脚期全般に多相性に活動したと推察できる。   本学会において、更に詳細について報告したい。

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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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