東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O034
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痙性麻痺に対する筋弛緩薬の効用
理学療法士として投薬に関わった一症例
*村瀬 代里子, 松本 正知, 赤尾 和則, 松田 理, 若林 徹, 小出 哲朗
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キーワード: 痙性, 筋弛緩薬, 腱反射
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抄録
【はじめに】生理学的に痙性は深部腱反射(以下DTR)の病的な亢進状態であり、固縮は筋緊張の亢進状態と定義されている。今回担当した後縦靭帯骨化症(以下OPLL)に対し椎弓切除術が行われた症例は、DTRは病的に亢進していたが筋緊張に問題は無かった。本症例は痙性麻痺の状態と考えられ、理学療法(以下PT)を施行するにあたり理学療法士が日常生活を注意深く観察し、医師、薬剤師の三者で協議し筋弛緩薬を用いながらPTを行い、歩行・日常生活に良好な結果を得たので若干の考察を加え報告する。
【症例紹介】症例は40代前半の女性。平成19年9月頃より足がもつれ始めて近医にて通院加療するが徐々に歩行できなくなり、12月にK病院を受診し、第9・10胸椎OPLLと診断された。平成20年1月17日に関連病院にて椎弓切除術が施行された。術後3週でK病院へ転院となりPT開始となる。初期評価時の主訴は右下肢と左下腿の違和感であり、DTRは左右の膝蓋腱(以下PTR)、アキレス腱(以下ATR)は++++で上肢は+であった。筋力は左股関節外転3+、両足関節底背屈共5、それ以外は4であった。筋緊張には問題なく、位置覚は右1/5左3/5、表在覚は両下肢共6/10、歩行は平行棒内で両側とも膝が過伸展していた。理学療法士より筋弛緩を進言し、三者協議により筋弛緩薬の投与を開始した。
【治療経過】手術後4週でbaclofen3錠となりPTRは両側+++、ATRは両側++++で歩行器で50m歩行可能。手術後5週でbaclofen4錠となりPTRは両側++、ATRは両側++++でロフストランド杖2本で400m歩行可能。手術後6週でbaclofen5錠となりATR、PTR共++でT字杖2本で800m歩行となる。手術後7週でbaclofen6錠となりATR、PTR共+でT字杖2本で1km歩行可能。手術後9週でdantrolene sodium1日1錠となりPTR、ATR共+となりT字杖2本で屋外歩行。手術後14週でdantrolene sodium1錠/36HとなりDTRと歩行とも変化なし。
【訓練内容】鏡を用いて膝が過伸展しないことを本人に確認させながら筋力強化とバランス向上のための起立訓練と歩行訓練を行った。
【考察】筋緊張に問題は無くDTRの亢進した痙性状態と考え、痙性の抑制を目的として筋弛緩薬の投与を始め、薬の漸増による筋の痙性の状態を把握する為にDTRを計測し、患者の主訴や歩行を確認した。baclofenの漸増によりDTRは著明な亢進から正常化し歩行も改善したが、主訴として右大腿につっぱり感が残存した。よって、dantrolene sodiumの投与へと変更した。しかし1日1錠の投与では全身の疲労感が出現した為、36時間に1錠の投与に変更した。これにより、主訴としてのつっぱり感は若干残存するものの疲労感はなくなり投薬に対する妥協点とした。投薬により筋弛緩が得られDTRが抑制されたが、過剰な投与は疲労感や恐怖心を招きかねない。患者の主訴や動作を観察する機会は理学療法士が多く、医師や薬剤師へ我々から投薬量を進言し、調節しながらPTを進めていく事も有効な一手段であると考えられた。
【まとめ】今回、痙性麻痺と考えられた患者に対してDTRや歩行等の日常生活と主訴を確認し、医師や薬剤師へ理学療法士から投薬量を進言し、調節しながらPTを進めていく事で良好な成績を残す事ができた。
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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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