東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P084
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ペルテス病患児に対するバランスWiiボード体重計ソフトを用いた治療の試み
*小野田 美樹子佐々木 弘之曽山 敏一曽山 薫丸岡 恵川並 真悟築田 智晶
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抄録

【はじめに】
 ペルテス病とは,大腿骨頭と頚部の一部を含めた無腐敗性または虚血性壊死で,大腿骨頭の関節面の不整,大腿骨骨頭部の成長障害等を起こす疾患である.本疾患は治療に2年から3年の経過を要し,股関節の外転位保持を目的とした装具療法が主に行われる.
 ペルテス病に対する理学療法としては,関節可動域や下肢筋力の維持・改善,免荷指導がある.そのため,患児の治療は単調になりやすく,治療に対するモチベーションの低下が問題であった.また,荷重可能な時期になると,患側への荷重を怖がったり,荷重時の足底感覚異常を訴えるために異常歩行を呈する児も少なくない.
 そこで今回,患側への荷重と足底感覚の改善,更に治療へのモチベーションの向上を目的に,バランスWiiボード体重計ソフトを用い,当センターで試作した,小児用リハビリゲーム(以下,リハビリゲーム)を使用した治療を試みたので報告する.

【方法】
 当センターで試作したリハビリゲームを用い,治療を行った.荷重可能な児には立位,免荷時期には座位でバランスWiiボード上に足底接地させ,体重移動でマウスが移動することを視覚的に確認しながら,課題を行わせる.課題内容は,2つの図形間を移動することで左右の体重移動を意識させるものや,図形の中で静止するものとする.これらの課題により,健側から患側への体重移動を促していく.そして,免荷時から足底感覚入力を行うことで,荷重時の足底感覚異常を軽減させるとともに,荷重による足底からの感覚入力を増やしていく.

【結果】
 視覚的に確認しながら,免荷時期であっても座位において患側足底への刺激を入れることが出来た.また,治療内容にゲーム性を持たせることによって,競い合い,楽しみながら治療に取り組むことが出来るようになった.これにより,患児の治療に対するモチベーションが上がり,筋力増強など他のプログラムにおいても目的を持ちながら治療に取り組むことが出来るようになってきた.

【まとめ】
 ペルテス病は治療経過が長く,装具の装着期間も長いため,実際に荷重可能な時期になると,足底接地を行うのを怖がったり,嫌がったりする児が多い.視覚的に確認しながら免荷時期においても座位で患側足底への刺激を入れることで,荷重時期の患側での体重支持が行いやすくなると考えられる.
 更に,こどもが好きなゲーム性のあるプログラムを用いることで,治療へのモチベーションを高めることも出来た.

【今後の課題】
 ペルテス病に対する理学療法プログラムとして確立させていくために,課題内容を検討していく必要がある.また,他疾患のバランス機能の向上を目的とした治療の1つとして使用できるように,課題の工夫や環境調整等を行っていきたい.

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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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