東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P089
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介護予防事業への取り組み
*佐藤 宗
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抄録

はじめに
当センターでは平成19年度,賀茂郡松崎町からの委託事業として介護予防事業(以下健脚教室)に携わった.今回は健脚教室(以下教室)参加者の参加結果を中心に全6回プログラムで実施されている本教室開催の有用性について検討したため報告する.
概要
教室は大渕らによる「運動器の機能向上マニュアル」をガイドラインとして使用した.3ヶ月を1クールとし隔週の頻度で全6回プログラムにて実施した.プログラム内容は第1・6回が事前・事後評価,第2~4回は主にストレッチ・筋力強化プログラム・腰痛体操,第5回はリズム運動を実施した.参加者は町の基本健診内で実施した生活機能評価で特定高齢者と判定された者の内,教室への参加を希望した14名である.
対象・方法
対象は参加者中,事前・事後評価実施が可能であった12名(男性3名・女性9名,平均年齢77.7±3.3歳)である.方法は教室で測定した,握力・開眼片脚立ち・Timed Up & Go Test(以下TUG)・10m通常歩行速度・10m最大歩行速度・老研式活動能力指標の結果についてウィルコクソン符号付順和検定を用いて事前・事後評価値の差について検討した.有意水準は5%未満とした.加えて,保健師が実施した基本チェックリストにて対象者が教室終了後に一般高齢者に何名移行したのか調べた.
結果
左開眼片脚立ち・TUG・10m通常歩行速度・10m最大歩行速度について有意差を認めた(p<0.05).老研式活動能力指標に関しては事前・事後ともに平均12点以上であった.基本チェックリストの結果からは7名が一般高齢者へと移行したことがわかった.一般高齢者への移行ができなかった5名についてはチェック項目数が変化しなかったものが4名,チェック項目数は減少したが一般高齢者の移行基準に達しなかった者が1名であった.チェック項目が増加している者はいなかった.
考察
結果より動的バランスの指標であるTUGや歩行速度に改善がみられ,実施プログラムに沿った結果を反映しており対象集団全体としては一定の効果があったものと考える.また,一般高齢者へ移行できなかった者についても機能維持を果たす効果はあったものと考える.今回は3ヶ月間で全6回プログラムということで開催頻度として多いとは言い難いが老研式活動能力指標の得点からも推測できるように活動性の高い集団に対してはこのような頻度であっても効果を得ることができるのではないかと考える.教室終了後,参加者全員に評価結果のまとめを作成し保健師よりフィードバックを行っている.今後の課題としては,教室終了時の能力を維持していくために継続したモニタリングが必要であると感じている.

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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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