東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P088
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畳の病室で観察した高齢者認知症例の移動動作
*尾畑 雅夫才田 浩之内島 有副加藤 逸平牧野 弘昇西川 正志松浦 淳教米澤 幸平
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キーワード: , 認知症, 移動動作
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抄録

【はじめに】ベッドからの転落や不穏のため困難に直面した認知症高齢者に対し、03年から07年にかけて、畳を使用した。病室の床に畳を敷き、その上に布団やマットレスを敷き管理するものである。今回は、経験症例の畳上で観察された自発的な移動動作(いざり這い、四つ這い、立ち上がり)について報告する。【対象】症例は23例(男性5例、女性18例)。年齢は76歳から100歳(平均86.0歳)であった。認知症の程度は、長谷川式簡易スケールで、平均5.2点(0点~16点)であった。入院時の傷病は、下肢骨折14例(12例は手術施行。)、その他の外傷5例、内科的疾病4例であった。畳の使用期間は平均69.8日(3日~167日)で、畳使用中も全例に可及的早期に下肢筋力強化、歩行練習を施行した。【結果】畳の生活上観察された、いざり這いは17例(73.9%)、四つ這いは10例(43.5%)、立ち上がりは9例(39.1%)であった。3つの移動動作をすべて認めたのは5例で、内4例は退院時、独歩もしくはT字杖独歩を獲得した。いざり這いと立ち上がりを認めたのは膝関節に障害のある4例で、3例は退院時T字杖独歩を獲得した。3つの動作を全く認めないのは6例で、虚弱な例が多かった。【まとめ】畳の病室にて、認知症高齢者の多彩な移動動作を観察した。その発現は、将来の歩行能力を予知や全身状態の評価の一助となる可能性がある。畳の使用はリハビリテーション医学上も有意義と判断された。

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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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