東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P091
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「知っ得!出張健康講座」
当院リハビリテーション室における取り組みの紹介
*水谷 久美甲賀 英敏川合 旬美和田 寿実子秋山 武彦岡部 敏幸榛葉 馨
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抄録

【はじめに】
「知っ得!出張健康講座」とは、掛川市民を対象とし医療や健康の正しい知識を提供することを目的とした病院全体の取り組みである。当院地域連携室が窓口となり、現在31の講座の中から希望の講座に合わせ、専門の知識を持つスタッフが派遣される。昨年度は82団体、延べ3287人が受講した。
リハビリテーション室としての取り組みを紹介するとともに、受講者に実施したアンケート調査の結果と今後の課題を報告する。
【講座紹介】
PTは「膝の痛みの解消法と腰痛体操」の講座を担当し、時間や場所を選ばず、特別な道具を用いずに行える体操を提案している。集団指導であるため、体操方法がわかりやすいようにパネルを作成し使用している。昨年度は地区の老人会や婦人会、企業など24団体、807人が受講し、最も人気のある講座の一つであった。この講座を受講したほぼ半数の団体が、同講座の再受講や他の講座への申し込みをしている。
【アンケート調査】
講座終了後に、1)受講者の実態を把握し、2)ニーズにあった講座となっているか検討することを目的に行った。平成19年7月から平成20年1月に講座を受講した方を対象とし、アンケートの趣旨を説明し同意が得られた304名(男性28名、女性272名、不明4名、平均年齢64.0歳(22-92歳))に実施した。痛みの有無と部位、通院状況、健康のために日頃心がけていることの有無、受講しての感想について調査した。
【結果と考察】
受講者の74.7%は腰、膝、肩などに痛みがあるが、通院している人は全体の43.8%であった。痛みを我慢している人、或いは通院するほどではないと考えている人が多く、これらが受講への動機につながったのではないかと考えられた。健康のために心がけていることがある人は72.7%であり、健康に対する意識の高さが伺えた。講座を受講して良かったと答えた人は98.0%であり、地域にも活動を広げていることに対し好意的であった。また、次回を期待する声も多く寄せられた。
【今後の課題】
受講者の年齢層が幅広いことから転倒等の危険も考えられる。受講団体の保険加入の確認や、会場や受講者に合わせた体操方法の変更等、臨機応変に十分な対処が必要である。また勤務時間内の講座依頼件数が増加していることから業務への影響が出る恐れがあり、全ての申し込みへの対応が困難になることも考えられる。
【まとめ】
地域に出向き、参加者と顔を合わせてコミュニケーション、スキンシップを取ることの大切さを実感している。予防医学が重要視され健康や医療への関心が高くなっている今、活動を継続し市民の更なる健康へとつなげていきたい。今後はより市民のニーズに応えられるよう、専門性を活かした新たな講座を提案していきたい。

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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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