東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P092
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運動特化型通所介護施設を利用する高齢者の健康関連QOLに関する研究
*渡邊 陽子渡辺 元夫那須 英里子奥川 慎二山上 登茂美浅井 友詞
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抄録

【目的】運動特化型の通所介護施設(以下、デイサービス)における身体機能について、我々は機能的体力を用いた体力評価からその有用性を確認した(第43回全国理学療法学術大会発表)。しかし、運動特化型デイサービス利用者の健康関連QOLの変化に関する研究は少ない。
そこで、SF-36による主観的な健康関連QOL評価を実施し、当デイサービスにて運動を実施した利用者の運動開始前と、運動開始から1年後の健康関連QOLの変化を検討した。
【対象・方法】2007年5月から当施設で1年間運動を継続した18名(男性7名、女性11名、平均年齢72 ± 11歳)であった。
運動の種類はアクアエクササイズ(総合的運動)と油圧マシン運動(レジスタンス運動)によって構成し、種類の選択は利用者の身体状況や本人の意思を考慮して決定した。運動頻度は、油圧マシン:1~2回/週、1回の総運動時間30分、アクアエクササイズ:1~2回/週、1回の総運動時間は60分であった。
健康関連QOLの評価はSF-36v2を使用し、身体機能(PF)、日常役割機能‐身体(RP)、身体の痛み(BP)、社会生活機能(SF)、全体的健康感(GH)、活力(VT)、日常役割機能‐精神(RE)、心の健康(MH)の8つの項目を自己記入式で実施した。データ処理は、対応のあるt-検定によって検討した。尚、統計的有意水準はp < 0.05とした。
【結果】RP:55.0 ± 27.4点から60.6 ± 32.3点、BP:58.6 ± 25.0点から59.2 ± 23.4点、MH:61.0 ± 24.0点から62.6 ± 17.7点と有意な改善が認められた。
また、GH:50.7 ± 16.0点から50.9 ± 20.2点、VT:60.1 ± 19.9点から61.3 ± 20.7点、SF:65.6 ± 19.4点から72.5 ± 26.2点と改善傾向を示したが有意な改善を認めなかった。しかし、PF:54.8 ± 30.3点から53.6 ± 23.6点、RE:64.3 ± 32.1点から57.1 ± 32.0点と改善が認められなかった。
【考察】MHやBPに有意な改善が認められたのは、デイサービスを利用し他者とのコミュニケーションをとる機会が増えたことや、運動に伴う痛みの軽減が影響したのではないかと思われる。また、運動を実施したことにより総合的体力が高まり、日常の活動量が増加しRPが改善したと推測される。当施設では、すでに運動による総合的体力の改善が認められている。しかし、本研究ではPFやREの向上は認められなかった。
今後は、運動によって向上した体力を日常生活に反映させるためのプログラムを導入し、健康関連QOLを再調査する必要がある。

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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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