東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P100
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当院リウマチ患者における住宅環境の実態
*三輪 晃敬岡村 秀人岩田 典子広瀬 弥生熊澤 慎志四戸 隆基佐藤 正夫
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抄録

〈はじめに〉
関節リウマチ(以下 RA)は寛解と再燃を繰り返し,緩やかに障害されていく進行性疾患である. RA患者は関節の疼痛や破壊により,日常生活動作に何らかの障害を生じている.しかし,無理をすることで行える動作も少なくないのも現実である.住宅改修は関節破壊の予防のほか,在宅生活における自立度の向上,介護量の軽減に対して有用であり,患者はその病期あるいは進行度に合わせて在宅生活への適応を高めている.今回,当院整形外科に通院しているRA患者の現状を把握し,今後の住宅改修指導など情報提供を目的に調査を行ったのでここに報告する.
〈対象および方法〉
対象は平成19年9月18日から10月15日の期間に当院外来通院中のRA患者で,調査の趣旨を説明し同意を得られた64名とした.回収率は86%(55名)であった.その内訳は男性13名,女性42名,平均年齢は63.8±13.3歳であった.調査項目は2005年リウマチ白書-リウマチ患者の実態に-て行った実態調査アンケートを基に検討し作成した.得られた結果より,複数回答による住宅改修場所及び罹病期間も加え比較検討した.なお,調査中および分析に際しては個人が特定できないよう無記名とした.
〈結果〉
「今までに,住宅改修(踏み台,スロープなどを含む)をしましたか」という設問に対して,改修した 52.7%(49.1%),改修しなかった47.3%(46.1%),であった.また,改修したと答えたうち一番多かった場所は“トイレ”であり55.2%(66.9%)であった.次に“玄関”48.3%(31.6%),“上がり框”44.8%(27.5%),“風呂場”34.5%(59%),“階段”17.2%(26.8%),“洗面所”13.8%(18.9%),“台所”10.3%(16.7%)であった.住宅改修場所(トイレ)と罹病期間について,1年未満0.0%(6.9%),1年~3年未満33.3%(10.7%),3~5年未満25.0%(14.6%),5~10年未満18.2%(19.8%),10~15年未満21.4%(27.6%),15~20年未満14.3%(35.2%),20~25年未満50.0%(39.4%),25~30年未満0.0%(41.8%),30~40年未満0.0%(46.4%),40~50年未満100.0%(49.6%),50年以上100.0%(55.9%)であった.括弧内の数字はリウマチ白書掲載の全国平均値の割合とした.
〈まとめ〉
RA患者の実態を把握するためアンケート調査を行い,住宅改修場所及び罹病期間について全国と比較検討した.全国では罹病期間が長くなるにつれ改修項目の増加が見られたが,当院においてトイレ,風呂についてはその傾向が類似していたものの,その他については一定の傾向は見られなかった.今回,実態調査したことでRA患者の現状が理解できた.今後,アンケート調査にて得られた情報を基に,患者教育などに活用してゆきたい.

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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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