東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P105
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病棟スタッフにおける杖の使用方法に関する理解度調査
*山中 博紀井舟 正秀田中 秀明川北 慎一郎
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キーワード: , 病棟スタッフ, 理解度
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抄録

【目的】
リハビリテーション(以下リハ)業務において理学療法士(以下PT)が杖を処方し使用方法を指導している.しかし,リハ以外の時間では正しい杖の使用方法を周知しているかどうかは確認できない.そのため,看護師,介護士(以下病棟スタッフ)に協力してもらい正しい杖の使用方法を確認してもらう必要がある.今回,病棟スタッフの杖に関する理解度を調査し,正しい杖の使用方法についてさらに理解度を向上することを目的とした.
【対象及び方法】
今回の研究の目的を説明し同意の得られた病棟スタッフ193名に紙面にてアンケート調査を実施し,回答の得られた162名(回収率84%)を対象とした.アンケート調査では,職種,職務経験年数,整形外科疾患に関わる職務経験の有無,自分の杖使用経験の有無,身近な人物の杖使用経験の有無,杖についての知識を得た機会の有無,右下肢に障害がある際に杖をどちらの手に把持するか,杖の長さを設定する際の判断基準,杖の種類を選択する際の判断基準について選択形式で回答してもらった.
【結果】
対象者の職種は,看護師149名,介護士13名であった.杖の持ち手については正しい持ち方の正答率は27%であった.その中で職務経験年数が多ければ多いほど正答率が高いことが確認された.自らの杖使用経験はないが臨床上で杖を使用している患者を担当したこと,または身近に杖を使用している人がいることで使用方法を理解できる傾向があった.杖の使用方法に関する知識を得た機会は臨床業務で得られたが95%,自己学習にて得られたが5%であった.しかし,杖の持ち手に関して正答した者の中で杖の種類を選択する判断基準の正答率は80%であったが,杖の長さ設定の正答率は39%であった.一方,杖の持ち手に関して誤答した者の中で,杖に関する知識を得た機会は臨床業務で得られたが89%と高く,臨床業務において,誤った思い込みがあることが確認された.
【考察及びまとめ】
本研究において,職務経験が多ければ多いほど,また,身近で杖を使用している人がいる場合で,杖の持ち手についての正答率が高いことが確認された.しかし,杖の種類を選択している理由は理解しているが長さに対してまでは十分に理解できていない傾向にあった.臨床業務で杖を使用している患者を見かける機会があっても正しい杖の使用方法を理解できる環境にないことも問題点として挙げられた.今後,PTが介入できる点としては杖の使用方法に関する知識を病棟スタッフの教育プログラムにルーチンに盛込むことや,担当患者の杖の種類・使用方法をPT・病棟スタッフ間で確認できるようなシステムを構築していく必要があると感じた.

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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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