抄録
【目的】
慢性期脳卒中患者の立位バランス機能と歩行能力に関する報告は多いが,回復期における検討は少ない.そこで我々は,回復期脳卒中患者の足圧中心総軌跡長(以下,総軌跡長)とADL,歩行能力の関係を検討したので報告する.
【対象】
当院の回復期リハビリテーション病棟に入院した初発脳卒中片麻痺患者で,入院後2週時(以下,2週時)に静止立位保持が1分間可能な20名とした.年齢は64.2±10.5歳,麻痺側は右13名,左7名,診断名は脳出血12名,脳梗塞8名,発症から入院までの期間は34.9±11.7日で在院日数は63.6±23.5日であった.
【方法】
総軌跡長の計測は,ツイングラビコーダG‐6100(アニマ社製)を使用し,2週時と退院時に各1分間行った.計測姿勢は上肢支持なしの自然静止立位姿勢とし,装具は訓練で使用しているものを用いた.加えて,同時期にFunctional Independence Measure(以下,FIM)運動項目合計点(以下,FIM-M)とFIM歩行を評価した.検討項目は2週時と退院時における総軌跡長,FIM-M,FIM歩行の変化,及び各時期における総軌跡長とFIM-M間,FIM歩行の相関とした.さらに,退院時FIM歩行6点以上と5点以下の2群に分けて退院時総軌跡長の差について検討した.
【考察および考察】
2週時,退院時の順で総軌跡長は121.9±33.3cm,100.7±35.1cm,FIM-Mは56.5±12.6点,76.0±9.5点,FIM歩行中央値は4点,6点と改善した.相関係数は2週時,退院時の順で総軌跡長とFIM-M間で-0.12(ns),-0.63(p<0.01),総軌跡長とFIM歩行間で-0.10(ns),-0.71(p<0.01)と退院時に強い負の相関を認めた.退院時FIM歩行6点以上は14名,5点以下は6名で,それぞれの総軌跡長は83.8±25.8cm,140.1±17.3cmで有意差(p<0.01)が認められた.以上により,立位バランス機能と歩行能力の関連は,回復期リハビリテーション病棟入院中に強まると考えられた.