東海北陸理学療法学術大会誌
第27回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-019
会議情報

学童期スポーツ少年団における野球肘検診
学童期野球肘検診の意義
*太田 修平渡邉 英一郎木島 丈博鈴木 信幸土屋 綱紀小松 亮鈴木 雄大池田 基樹勝呂 朋生渡邉 聖斗
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抄録

【はじめに】
野球肘とは学童期・成長期における投球動作の反復により生じる肘障害である。障害部位によって、内側、外側、後側障害と分類されることが多いが、特に外側での骨軟骨障害では永続的な障害がおこりやすく、野球生命を絶たれてしまう選手がいる。しかし、発育期の上腕骨小頭障害は、初期では90%、進行期では50%、保存療法で形態的、機能的に修復すると報告されており、早期発見と適切な指導が重要である。今回、野球肘の早期発見および予防の指導、指導者・父母への理解を呼びかけることを目的に野球肘検診を行なったので報告する。
【目的】
野球肘の早期発見および障害予防の指導、指導者・父母への理解を呼びかけること。
【方法】
当院所在地周辺市2市の少年野球チーム17球団に案内を送付し、野球肘検診を希望する小学1~6年生、224名を対象に検診を行った。検診期間・場所については、平成22年11月6日、13日、27日~12月4日、25日~1月15日、22日、29日にかけての8日間。院内リハビリテーション室を利用し、実施した。検診内容については超音波検査、レントゲン撮影、理学検査、ポスター作成、医師による野球肘講義、検診結果不良者の個別指導、フォームチェックのためのビデオ撮影等を行い、これら検診結果のレポート作成し、個々の参加者に配布した。
検診内容については超音波検査、レントゲン撮影、理学検査、ポスター作成、医師による野球肘講義、検診結果不良者の個別指導、フォームチェックのためのビデオ撮影等を行い、これら検診結果のレポート作成し、個々の参加者に配布した。
【結果】
外側障害(超音波上の左右差のあった者)18/224名。8.04%。その18名中、レントゲン読影後、両画像の検討から、投球制限、整形外科の再診を指導した者8名。3.57%。
内側障害(超音波上の左右差のあった者)81/224名。36.16% 。
【考察】
野球肘検診により、症状のない初期の外側障害の児童を見つけることができ、その後の経過フォローをすることができた。理学検査においては、学童期の野球少年の身体的特徴を調査することができた。
また、野球肘の予防のためには現場と医療側との協力が必要と考える。今回、父兄やチームの指導者に成長期での障害の特徴や予防、野球肘の病態などを説明する機会がもてたことは今後、地域医療の中で野球肘を予防していくために有意義であったと思われる。
【まとめ】
学童期の野球肘検診は、障害を成長期段階で早期に発見し、病期、病態に応じて適切な指導することができ、有意義である。
今後も自己研鑽を続けながら、それらを定期的に公開し、少年野球の子供たちが夢を追いかけ、健全に育成されることを目指し、父母、指導者を含めた各専門家のおかれた立場の中で、協力しながら適切に判断し、その対応を指導することが大切である。  

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© 2011 東海北陸理学療法学術大会
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