東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-62
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一般口述
松葉杖部分荷重歩行時の荷重方法の検討 ―第1報―
*今﨑 真衣
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キーワード: 部分荷重, 松葉杖, 荷重方法
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抄録

【目的】 松葉杖歩行時の荷重量に関して、床反力計を使用した研究は散見されるが自由歩行を測定した報告は少ない。自由歩行の場合、症例の主観的感覚や理学療法士の動作分析で荷重量を確認することとなり、実際の荷重量は確認出来ていない。そこで我々は、自由歩行時の松葉杖部分荷重歩行時における研究として、第21回石川県理学療法学術大会において松葉杖使用経験のない健常成人男性9名で下肢荷重量を測定した。結果、松葉杖使用経験のない健常成人男性において指定した荷重量を守り歩行することは困難であることが示唆された。そこで本研究では荷重方法を指定することで、荷重量を守りながら部分荷重歩行を行うための荷重方法を検討することを目的とした。
【方法】 上下肢ともに整形疾患の既往がなく、松葉杖の使用経験のある健常成人12名を対象とした。実験前に当院倫理委員会の承認を得た後、被験者に実験内容を説明・同意を得てから行った。歩行は両松葉杖歩行とし、十分な部分荷重exを実施した直後に10m歩行を3回行い、測定時には指定した荷重量を守るよう指示した。指定荷重量は1/3PWBとし、荷重方法は前足部のみ接地する方法とした。荷重量の測定にはインソール型荷重計(株式会社エルク社Smart Step)を使用した。実験データとして10m歩行における時間、歩数、歩行率を測定した。また荷重量を体重比に換算して平均荷重量を算出し、超過率(測定した歩数に対する超過した歩数の割合)、平均超過荷重量(超過した歩数における平均荷重量)を算出し、指定荷重量との差を検討した。この他、10m歩行から得られた測定データ(以下、歩行関連データ)と荷重量から得られたデータ(以下、荷重関連データ)の関係を調べるため相関係数を算出した。
【結果】 平均荷重量は38.78±13.14%BW、超過率は60.02±32.06%、平均超過荷重量は45.11±6.14%BWであった。また、平均荷重量と超過率に相関(r=0.90)が認められたが、歩行関連データと荷重関係データの間に相関は認められなかった。
【考察】 松葉杖使用経験のある健常成人に対して松葉杖での部分荷重歩行時に荷重方法を測定したが、前足部のみ接地する荷重方法では超過率は60%以上、平均荷重量、平均超過荷重値は指定荷重量よりも大きい値を示した。前足部荷重では指定荷重量を守りながら歩行することは困難である可能性が考えられた。また、平均荷重量と超過率に相関が認められたが、歩行関連データと荷重関連データとの相関は認められず、歩行関連データが荷重量・超過率に増大に関連する因子とは考えにくいことが示唆された。
【まとめ】 松葉杖使用経験のある健常成人において前足部接地による部分荷重では指定した荷重量を超過せずに歩行することは困難である可能性が示唆された。しかし本実験は前足部のみ接地する荷重方法の結果のみであり、他の荷重方法での測定結果を考慮し、松葉杖部分荷重歩行時の荷重方法を検討していくことが必要である。

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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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