東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-01
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フォワードランジにおける下肢筋力とKnee-inの関係
*蒲原 元金井 章今泉 史生木下 由紀子四ノ宮 祐介村澤 実香河合 理江子上原 卓也江崎 雅彰
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抄録

【目的】 スポーツ疾患を有する者の動作訓練を行う際にフォワードランジ(以下、FL)を用いる事が多い。FLは、エクササイズとして下肢の筋力強化や協調性トレーニングとしても用いられており、代表的な代償動作としてKnee-inがある。Knee-inを呈する個体的要因は筋力、関節可動域、足部機能、関節不安定性、下肢スタティックアライメントなどが考えられる。今回はFLにおける下肢筋力とKnee-inの関係について検討する事を目的とした。
【方法】 対象は、下肢運動機能に問題が無く、週1回以上レクリエーションレベル以上のスポーツを行っている健常者41名82肢(男性16名、女性25名、平均年齢17.7±3.2歳、平均身長162.6±8.3㎝、平均体重57.1±8.6㎏)とした。FLの計測は、踏み込み側の膝関節最大屈曲角度を90度とし、動作中の膝関節角度は電子角度計Data Link(バイオメトリクス社製)を用いて被験者にフィードバックした。規定方法として頚部・体幹は中間位、両手は腰部、歩隔は身長の1割、足部は第二中足骨と前額面が垂直となるように指示した。ステップ幅は棘果長とし、速度はメトロノームを用いて2秒で前進、2秒で後退、踏み出し時の接地は踵部からとした。各被検者は測定前に充分練習した後、計測対象下肢を前方に踏み出すFLを連続して15回行い、7・8・9・10・11回目の足関節最大背屈時を解析対象とした。動作の計測には、三次元動作解析装置VICON-MX(VICON MOTION SYSTEMS社製)を用い、関節角度を算出した。筋力は股関節屈曲、伸展、外転、内転、膝関節屈曲、伸展、足関節背屈、底屈の等尺性最大収縮を測定した。各種筋力は筋力計μtasMT-1(ANIMA社製)を用いて得られた値を体重で除して正規化した。Knee-inの定義として前方に踏み出した下肢の股関節内転と脛骨内側傾斜とし、それぞれの最大踏み込み時の角度と体重比筋力値をピアソンの相関係数を用いて解析した。
 本研究の実施にあたり被検者へは十分な説明をし、同意を得た上で行った。尚、本研究は、豊橋創造大学生命倫理委員会にて承認されている。
【結果】 足関節背屈筋力が弱い程、股関節内転位(r=0.24・p<0.05)、脛骨が内側傾斜(r=0.38・p<0.001)していた。また、膝関節屈曲筋力が弱い程、脛骨が内側傾斜する傾向が見られた(r=0.27・p<0.05)がその他、相関は得られなかった。
【考察】 本研究において足関節背屈筋力が弱いとFL時にKnee-inしやすいという傾向が得られた。先行研究よりFL時の足関節背屈筋力は踏み込み脚の踵接地前から接地直後で主に活動する為、その時期において背屈筋力の発揮が弱くなる事でKnee-inしやすくなる事が考えられる。膝関節や股関節の筋力においては膝関節屈曲を除いて相関が得られなかったことから、一般的に行われている股関節の外転、外旋、膝関節伸展の筋力トレーニングのみではなく足関節背屈の筋力トレーニングの必要性が示唆された。
【まとめ】 FLにおける代償動作のKnee-inを防止するための一般的に行われている股関節周囲及び膝関節の筋力トレーニング以外に足関節背屈筋力のトレーニングの必要性を示唆している。

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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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