東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-36
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脳卒中片麻痺患者の歩行改善における 2種類の介入方法の効果について ―シングルケースデザインを用いた検討―
*金澤 沙耶佳佐藤 武士伊藤 良太
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抄録
【目的】 脳卒中片麻痺患者の歩行において、麻痺側遊脚期に足部が床に接触し(以下、引っかかりなど)臨床上問題となることが多い。下肢ペダリング運動(以下、ペダリング)は下肢運動機能の改善に効果があるとされ、引っかかりなどの改善が期待される。一方、臨床現場では麻痺側立脚後期の練習(以下、立脚後期練習)により、円滑な遊脚期への移行が可能となり引っかかりなどが改善することもよく経験する。そこでシングルケースデザインを用いて、ペダリングと立脚後期練習のどちらが引っかかりなどの改善に効果があるかを検討した。
【方法】 対象は初発脳卒中左片麻痺患者1名(60歳代男性、下肢Brunnstrom recovery stage5)とした。
 研究はABABデザインを用い、期間は4週とした。各期は1週間(週5日介入)とし、1週目から順にA1、B1、A2、B2とした。A1、A2にはペダリングを、B1、B2には立脚後期練習を各10分間実施し、その前後に最大速度での45m歩行を3回ずつ実施し効果判定を行った。なお、介入期間前後に下肢ROM、SIAS、下肢運動項目および感覚項目、左右の最大脚伸展筋力を計測し下肢機能の変化を評価した。
 ペダリングは三菱電機社ストレングスエルゴ240を用い、バックレストを後方へ最大に倒し、ペダリング時の最大膝伸展角度が軽度屈曲位となるよう座席を設定した。駆動方向は逆回転とし、回転数は実施前の45m歩行のケイデンスの約100%~110%に設定した。運動負荷はアイソトニックモードで5N・mから開始し、旧Borg scaleの11~13となるよう調節した。
 立脚後期練習は麻痺側後方のステップ肢位にて麻痺側の踵から母趾球への重心移動を行い、円滑な遊脚期への移行を練習した。
 効果判定には練習後の45m歩行の速度、歩幅、引っかかり出現率(引っかかり回数/歩数)、引きずり出現率(引きずり回数/歩数)を用いた。なお、足部が床面と接触した際に、振り出しが妨げられたものを引っかかり、振り出しが妨げられなかったものを引きずりとした。各項目をグラフ化し、中央分割法にてceleration lineの傾きを求め、目視にて判定を行った。また、補助的に二項検定を用い各期の介入効果の違いを検討した。
【結果】 介入期間を通して歩行速度と歩幅は増大した。引っかかりと引きずりの合計の出現率は、A1は増加し、A1に対してB1は減少した(p<0.01)。B1に対してA2は増加し(p<0.05)、A2に対してB2は減少した(p<0.01)。引っかかり出現率はA1に対してB1は減少し(p<0.01)、A2はB1より緩やかな減少となり(p<0.01)、B2では横ばいとなった。引きずり出現率は、A1は横ばい、B1とA2は増加し、A2に対してB2は減少した(p<0.01)。介入期間前後で、膝伸展位での両側足関節背屈可動域のみ15°から20°へ改善した。その他の項目に関しては変化はみられなかった。
【考察】 B1、B2に引っかかりや引きずりの改善がみられたことから、症例においては立脚後期練習の方が効果的であったことが示唆された。
【まとめ】 今後は臨床の現場にて症例数を増やし、適切な介入方法を更に検討していく必要があると考えられる。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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