抄録
【目的】 近年、透析患者数は増加し続け2009年には29万人を突破している。透析年間医療費は1兆円以上に達し、医療費を圧迫している。その為、腎臓リハビリテーションの注目度が増している。しかしながら、慢性腎不全患者、透析患者に対する腎臓リハビリテーションについての報告は少ない。そこで、本研究の目的として、当院の理学療法介入における透析療養患者の傾向について検討を行った。
【方法】 当院は79床の療養病棟、40床の透析施設、理学療法士2名からなるリハビリテーションセンターを有している。対象は、平成24年1月1日~5月30日の間に理学療法を施行した全ての入院患者、外来透析患者106名とした。今回の調査項目は、年齢、透析日数、退院患者数、在院日数、入院初期時のBarthel Index(初期BI)、退院時もしくは平成24年5月30日時点でのBarthel Index(最終BI)とした。データは自宅退院者、施設退院者、外来透析者、入院継続者の群に分けて、それぞれの群間の傾向を検討した。統計解析は、各群の初期BIと最終BIとの比較には対応のあるt検定を用いた。また、各群間の透析継続年数、在院日数の比較には一元配置分散分析を用い、事後検定として多重比較法を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】 自宅退院者は15名で年齢74±9歳、透析継続日数2434±2876日、在院日数80.2±88.2日、初期BI70.3±18.8、最終BI79.0±17.9、施設退院者は7名で年齢78±13歳、透析継続日数3308±3260日、在院日数143.6±134.1日、初期BI65.0±23.5、最終BI67.9±24.6、入院継続者は47名で年齢78±9歳、透析継続日数2233±2856日、在院日数254.4±275.2日、初期BI41.5±31.8、最終BI40.9±33.3、外来透析者は10名で年齢69±17歳、透析継続日数1856±2223日、通院日数161.7±111.3日、初期BI82.5±12.1、最終BI80.0±15.5であった。転院者は21名、入院中の透析離脱者は2名であった。自宅退院患者のADLは有意に改善していた(p<0.01)。その他の群では有意な差は認められなかった。また、透析年数で各群に有意差はみられなかった。
【考察】 本研究の結果、自宅退院者のADLは有意に改善している。改善が見られた主な項目は移動、移乗、階段昇降であった。入院継続者のBIに、有意な差は出なかったが、初期BIが退院者と比べ低値であった。透析患者においては外来通院時からの予防的な介入が必要と考えられる。
自宅退院者、施設退院者、入院継続者について、透析年数による有意な差は見られていない。透析年数は運動療法を行う上で大きな障害とはならないことが示唆された。
【まとめ】 医療療養病棟の透析患者であっても、積極的な理学療法介入は有効であると実感している。ただ、介助が必要な状態の生活になると、透析患者は改善が難しくなるという研究結果となった。今後、予防を含めた透析患者に対する早期のリハビリテーション介入が重要となってくると考えられる。